「感想」はどうやって書くべきか――感想書きから考える文章力向上法
感想の書き方、という記事ですが、出来れば作家志望のかた、特にインターネットで切磋琢磨しながら作家になりたいと言う人に向けて書いています。
もし、意見があればコメント欄やツイッターまで! いろんな方から意見を聞いてみたいなー。
最近ではネット発の作家さんも増えてきて、いよいよインターネットを創作に活用する時代が本格的に到来してきたという感じですね。
このブログを読んでいる皆さんは、インターネットのどこかに作品を公開しながら作家を目指している人、趣味として作品をインターネットで発表している人がほとんどだと思います。
ネットで作品を発表する中で、感想をもらったり、あるいは感想を付けたりということがあるでしょう。
ライバルや仲間と共に感想を言い合って切磋琢磨…… 大変結構なことですが、「辛口コメントをもらって心が折れた」「感想というか既に人格攻撃だった」「感想を求めた筈が、聞きたくもない小説論を語られた」などなどトラブル(?)はつきものです。
今回は、「感想をどうやって書くべきか」ということに触れたいと思います。
べき論というよりも、私自身が気をつけている事ですが、何かの参考になればと思います。
前提として:「文章は誰かに読んでもらうもの」
小説にしろ論文にしろ、手紙にしろ詩にしろ、何れにせよ「文章は誰かに読んでもらうためのもの」です。
日記のように基本的に他人に読ませないものもありますが……あれも未来や現在の自分に向けて書くと言う意味では「読んでもらうためのもの」と言えるかもしれません。
「読んでもらうためのもの」としての文章は、「筆者の意図が伝わり、共感を呼ぶほど」よい文章だとします。
何をもって文章の良し悪しを計るかというのは、とても難しい問題ですが、この記事では、より内容が伝わったほうが良い文章だと暫定的に設定しておきます。
エンターテイメント小説であればその面白さが伝わり、笑わせたり、感動させたりするほど良い文章です。
論文であればその論理が伝わり、なるほど一理あると膝を打たせたほど良い文章です。
とりあえず、ここまでが前提。
「感想」の読者は誰なのか。
感想が文章で書かれる以上、それには読者が想定されるはずです。
良い文章を書くためには、その読者が誰なのかをある程度想定しなければなりません。
たとえば、日本人に向けて書く文章をフランス語で書いても仕方ありませんね。
読者が日本語話者なのかフランス語話者なのか、あるいはバスク語話者なのか、ある程度想定しなければ良い文章は書けないでしょう
そしてその想定を元に、戦略を練り、ターゲットにより伝わる表現を模索しなければなりません。
「感想」の読者は、まずひとつには「感想を付けた作品の作者」です。
公に向けて書かれる感想(たとえば掲示板などに書く場合)であれば、それを閲覧できる人全てが読者になります。
つまりある作品に対して感想を書くと言う行為は、
「感想を付けた作品の作者」(+α)という読者に向けて、自分の主義主張(この作品はここが面白い、ここが駄目だと思うなど)を伝える文章を書く
と言うことになります。
あなたはいい文章を書いていますか?
もし本気で職業作家を目指すと言うのであれば、他人の作品を書くときにも本気を出すべきだと思っています。
感想を書くと言うのは真面目に取り組むととても難しい行為です。
- ある作品を読んだ時の感情を
- 文章に起こせるように整理し直して
- それを読者に伝わりやすい様にプロットを立てて
- 実際に文章を書く
という工程を経なければなりません。
しかも、相手の思い入れのある作品を批評するというデリケートな文章です。
相当気を使わないと、読者に自分の主張を伝えるのは難しいでしょう。
時にはへりくだったり、時には褒めたり、心を鬼にして辛口にしたり……
長い文章だと読まれない可能性もあるから短くしたり、逆に論を重ねて言って長い文章にしたり……
箇条書きにしたり、会話形式にしたり……
兎に角、考えられる方法は沢山あります。
このように読者にきちんと伝わる感想を書くのは、自分の感情の整理~相手に伝えるための文章の検討・構築と、文章を書くのに必要な要素が詰め込まれています。
「お前の文章はここが駄目で、こういった所も全然なっていない~」とか
「人称は分かりやすく書くべきで、あなたの文章はここでねじれがあって、……」とか
上から目線で、まったく無遠慮に書いたって読者にはちっとも伝わりません。
もしその内容が正論であったとしてもです。
(相手の気を悪くさせる、という目的だったとしたら満点ですが)
感想を求められた時、あなたはいい文章が書けていますか?
「ツマンネ」と一言で切り捨てていたり、
正論であろうと、相手の駄目な所をあげつらっていったり、
聞かれてもいない小説論をぶちまけたりしていませんか?
挑発的ないい方をすれば、
作者のことなんてまったく気にせず感想を書くことは、
「私は作家志望だけど、読者のことなんかまったく気にしませ~ん」
と言っている様なものですよ。
せっかくの文章力を磨くチャンスです。
きちんと「読者」の心に届く感想、書いてみませんか?
補足
この記事は、別に辛辣なコメントをするなということを主張するものではありません。
甘口にしろ、辛口にしろ、その表現を選ぶ理由をきちんと考えることが、お互い(感想を書く人/書かれる人)のためになるんじゃないかということです。
ちなみに、本ブログは辛口コメント大歓迎だよ!