モノカキ支援室

小説、文章を書く人のための支援をするブログです。twitter:https://twitter.com/monokaki_suppor

「パラグラフライティング」を小説に応用しよう!

 

「パラグラフライティング」という文章作成方法をご存知でしょうか。パラグラフは日本語で「段落」。一つの段落で一つの話題(トピック)を表し、その段落の積み重ねで相手に内容を分かりやすく伝えようと言うのがパラグラフライティングです。今回は、パラグラフライティングの概要と、小説への応用方法を考えてみましょう。

(ちなみに、この文章自体は厳密な意味でパラグラフライティングではないのでご注意ください)

 

1パラグラフ、1トピックって具体的にどういうこと?

一つの段落に対して、一つの話題しか入れない。こうすることで、読者に分かりやすく内容を伝えようと言うのがパラグラフライティングです。もっと正確な定義もあるのでしょうが、とりあえず今の所はこの捉え方で大丈夫です。

 

試しに「リンゴ」を例にとって考えてみましょう。
リンゴを描写しようとすると、様々な見方があることに気付きます。

 

  • たとえば、食物としてのリンゴ。味、香り、歯触り……。
  • たとえば、見た対象としてのリンゴ。赤い、つやつやしている、ヘタは茶色い……。
  • たとえば、物語のモチーフとしてのリンゴ。禁断の果実、白雪姫が食べたリンゴ……。

 

リンゴを描写する時、「食べ物としてのリンゴ」は一つの話題(トピック)になります。「見た対象としてのリンゴ」「物語のモチーフとしてのリンゴ」も一つの話題(トピック)です。
さあ、試しにパラグラフライティングしてみましょう。

 

 皆さんも普段食べているリンゴ。リンゴには様々な側面があります。今回はリンゴについてご紹介しましょう。


 リンゴは、様々な国で食べられています。その爽やかな酸味、香りから好んで食べる人も多いでしょう。しゃりっとした歯触りは、口に楽しく、耳に嬉しく、食べているだけで元気になってしまいそうですね。風邪をひいたときにすりおろして食べることも多いようです。


 またリンゴは、見た目からして可愛い。あの赤く艶やかなフォルムはついうっかり頬ずりしてしまいそうになります。絵画のモデルとしてもしばしば取り上げられます。


 リンゴが登場する物語も数多く存在します。アダムとイブが食べた「禁断の実」がリンゴとして描かれることもありますし、白雪姫が食べさせられたのも毒りんごでした。
 ……


適当に書いたら、面白みの無い悪文になってしまった。ごめんなさい。
面白みは無いですが、まあ、分かりやすいですね。「へー、リンゴには色々な側面があるんだなぁ」とぱっとつかむことが出来ます。(多分)

 

実際は「リンゴ」なんていう漠然としたテーマで書くことはあんまりないと思います。じゃあ、どういう風に使うのという所で、次の項で具体的に見ていきましょう。


パラグラフライティングを使った論理構成


ちょっと、小説から離れてしまうようですが、パラグラフライティングで論理的な文章を書くためのお話です。

後から小説の話しに戻ってくるので安心してくださいね。

 

パラグラフライティングをつかって書かれる文章で、分かりやすく使いやすいのが以下のような形です。
(「パラグラフライティングをつかって書く」という表現は、恐らく正しくは無いのでしょうが……。だって多くの文章には段落〈パラグラフ〉がありますからね!)

 

 

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Introduction:導入。「これから○○の話をしますよ―」ということを1パラグラフで書きます。ここで結論についても触れてしまいます。


Body:本文。Intoroductionで宣言した内容の根拠を述べます。決まりは無いですが、パラグラフが多すぎると分かりにくくなってしまうので、3つの段落でおさめると分かりやすいでしょう。


Conclusion:結論。

 

試しに「ニンジンと健康」というテーマを上の形式にあてはめてみます。

 

●Introduction
・これから、ニンジンが体に良いと言う話をします。

 

●Body
ベータカロチン。これは抗酸化作用をもっています。
・次にビタミン。沢山含まれてて良い感じ。
・最後にカリウム。体にある余計な水分を排出してくれる作用があります。それによってむくみが解消します。

 

●Conclusion
・以上のような理由からニンジンは体に良いと言えます。

 

内容は適当ですが、こんな感じ。
内容が頭に入ってきやすいですね。(多分)

 

小おさらい

 

●パラグラフライティングは分かりやすく、順序立てて、理論的に文章を構築する書き方である。

●パラグラフライティングの分かりやすさは恐らく、以下の二つの要素で出来ています。

・1パラグラフ、1トピック
一つの段落(パラグラフ)に、一つの話題(トピック)と限定することで、読む人に(恐らく書く人にも)分かりやすくなる。

 

・頭に入りやすい構造
Introduction で「これからこんな話をしますよー(私の主張はこうですよ)」ということを述べてから、
Body で「この話の具体例や主張の根拠はこうですよー」と言って、
Conclusion で、「以上の理由から私はこう主張します」と締める。

 

 

小説に応用しよう

パラグラフライティングみたいな書き方で、小説すべてを書くのは恐らく難しいでしょう。

たとえば、「失恋して辛かった出来事」を小説にしたとしたら……。

 

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 多分こんな感じで、パラグラフが入れ子状態になってしまいます。

長編になればなるほど、物語が複雑になればなるほどパラグラフライティングの考え方だけで小説を書くのは難しくなるでしょう。

 

作品を書いていていつもストーリーがごちゃごちゃになってしまって、読者に伝わらないという人は、パラグラフライティングで物語の構造を確認するのは良いかもしれませんが。

 

私がお勧めするのは、小説の一部、「説明的な文章」をパラグラフライティングで書いてみることです。

SFやファンタジーなど、世界観を伝えるためにどうしても説明的で冗長な文章を書かねばならないことがあります。

説明的な文章。これこそまさにパラグラフライティングの得意とする所です。

 

 

 

 

補足というか言い訳

パラグラフライティングは1パラグラフに1トピック

パラグラフライティングを言葉通りに解釈するなら、「パラグラフ単位で文章を構成していく」と言うことになるかと思います。

途中で出てきたIntorだとか、Conclusionだとかは必須ではありません。

一つの段落に一つの話題と限定するだけでも、文章はぐっと読みやすくなりますよ(それが小説の表現として良い効果を生むかどうかは別として)。

 

トピックセンテンスを使おう

今回は言及しませんでしたが、「トピックセンテンス」というものがあります。その話題(トピック)を代表するような単語や文章のことです。

そのトピックを端的に表した言葉(トピックセンテンス)をパラグラフの頭に持って来ることで、さらに文章が分かりやすくなる……というものなのですが、あまりにも小説における文章とかけ離れてしまいそうだったので、割愛。

今後時間がある時に、小説におけるトピックセンテンスの取り扱いを考察してみようと思います。