モノカキ支援室

小説、文章を書く人のための支援をするブログです。twitter:https://twitter.com/monokaki_suppor

テンプレキャラから簡単に「深みのある人物造形」を作る練習

キャラが薄い、キャラが上手く作れないという悩みを抱えている人は存外に多い様です。

とりあえず、可愛いキャラを、萌えるキャラを……と詰め込んで行った結果、収拾がつかなくなってしまったり、逆にどこかで見たことがある様なキャラになってしまったり。

 

そんな、キャラ作りで悩むあなたのために、簡単に深い(感じがする)キャラを作る練習法を提案します。

 

 

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テンプレキャラからスタートする

今回提案する方法は、前回御紹介した「見切り発車執筆法」の応用編です。

 

【設定厨への提言】「見切り発車」執筆法 - モノカキ支援室

 

なんだか、「見切り発車」執筆法って、名前格好悪いし、極当たり前のことを大袈裟に言っているみたいで恥ずかしいけど、もう手遅れです。

 

「見切り発車」執筆法は、『とりあえず書きやすい場面から書き始めて、そこから「何故」を積み重ねていって全体を構築していく』と言う書き方でした。

今回は「何故」を積み重ねてキャラを構築してみましょう。

 

例:ツンデレ

金髪ツインテールツンデレ、決め台詞は「別にあんたのことなんて好きじゃないんだからね!」というキャラ(CV釘宮理恵)を考えたとしましょう。多分このまま小説に登場させても、なかなか動いてくれないし、読者にとって魅力的なキャラクターであるとは言えないと思います。

このキャラを「何故」で掘り下げてみます。

 

何故金髪でツインテールなのか

A.父親がアメリカ人。ツインテールなのは、子どものころからの習慣。子離れ出来ていない母親が、その髪型以外にするのを嫌がっている。

 

何故髪型を変えず、母の言いなりになっているのか

A.母親が精神的に自分に依存気味であることを自覚しており、出来るだけの意向に沿おうと努力している。

 

何故母親は彼女に依存しているか

A.生まれてくるはずだった弟が死産だった結果、必要以上に過保護になっている。

 

何故「別にあんたなんて好きじゃないんだからね」が決め台詞なのか

A.主人公のことを好きにならないように自分に言い聞かせている

 

何故、主人公のことを好きにならないように自分に言い聞かせているのか

A.余命半年だから

 

……

 

即興で書いてみましたが、こんな感じ。

まとめると

「母親に精神的に依存され、その期待に一生懸命に応えようとする親思いの優しい子。余命半年だと宣言され、必死に主人公のことを好きになるまいと自分に言い聞かせている」

こんな感じになります。ただのテンプレキャラだったはずなのに、たった五分の問答でちょっと深そうになりました。

なんとなくストーリーも見えてきそうですね。

 

ここでのポイントは、ちょっと強引でもいいから無理やり「何故」でつなげてみると言う事。

「何故金髪でツインテールなのか」という問いに対して、先ほどはシンプルで一般的ない返答をしましたが、たとえば以下のような感じでもいいのです。

 

何故金髪でツインテールなのか

A.彼女の信仰する「ヌベモレット教」の教えでは金髪ツインテール神聖な髪型であり、悪を寄せ付けないと信じられている。特に彼女はヌベモレット教の巫女であるので、絶対に金髪ツインテール以外の髪型をしない。

ヌベモレット教は架空の宗教です。もし同名の宗教団体をご存知の方がいましたら、教えてください。

 

一気に変な世界観になりました。でも面白いストーリーが出来るかも。

 

応用編:もっとキャラを練り込もう。

上記だけの作り込みでも短いストーリーや、ライトな読み口の作品なら問題ないでしょう。

でもこれだけじゃ、キャラがきちんと作れたとは言い切れません。長い作品や、登場人物の多い作品だと多分設定不足になってしまいます。

そんな時は、こなたま(CV:渡辺久美子) @MyoyoShinnyo氏の、『キャラクター造形の12か条 - Togetterまとめ』と、「何故」によるキャラの掘り下げを併用してみましょう。


キャラクター造形の12か条 - Togetterまとめ

 

キャラ造形の12か条は以下の通り

 

「何故」で掘り下げた内容の中に、上記の項目に当てはまるものがあればあてはめてみましょう。

先に項目を埋めてから、それを「何故」によって掘り下げてもいいかもしれません。

 

まとめ――キャラを「何故」で掘り下げるメリット

前回の記事とも重複してしまいますが、「何故」をつかってキャラを掘り下げていくのには、以下の二つのメリットがあります。

 

ストーリーと設定が繋がっていること。


物語と設定がシンクロしているので、物語に深みが出るように見えます。
先ほどのツンデレキャラの例で考えると、彼女と両親の関係、彼女と病気、主人公との関係、そのままストーリーに出来そうです。

 

「何故」で繋がっていくので、考えるのが楽だということ。

漠然と深くしなきゃと考えるよりも、「何故」で掘り下げたほうが圧倒的に考えるのが簡単です。特にテンプレキャラを元に「何故」で掘り下げていくと、一番最初のたたき台を考える必要が無いので簡単です。

 

キャラを作るのが苦手だと言う人、作ったは良いけど小説の中で動いてくれないと言う人、試しに「何故」でキャラを掘り下げてみませんか。

 

 

 

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